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この地に越してきてそろそろ一年が経とうとしている。理想の生き方を求めて移り住んだこの街はほぼ群馬県に近い埼玉県の奥地。
旦那さんの実家に初めて挨拶に訪れた時(なんて素敵な場所なんだろう!)と一目惚れした。360°ほぼ田園風景に囲まれたこの場所は遠くの景色までをも見渡す事ができ、なんともいえない温かな空気が流れていて...当時まだ婚約もしてなかったけど(いつかここに住みたい!)と思っていた(笑)
もともと絵を描く事が好きで将来は画家になりたいと思っていたけれど、意外とリアリストな私が最終的に選んだのはグラフィックデザイナーとして生きる道だった。昔、アメリカの大学のクラスでは『将来デザイナーとしてどんな暮らしを過ごしたいか』を考える授業があった。その時私が思い描いた暮らしぶりは、フリーランスのデザイナーになって、自分の好きな場所で好な仕事を一生続けながら温かい家庭を築き大好きなアートに囲まれクリエイティブな一生涯をおくる事だった。そして若い頃衝撃を受けたマザーテレサやターシャテューダー、その他これまで偶然にも目の当たりにしてきた世界の第一線で働く素晴らしい先輩女性アーティスト方々の生き様を前に『幸せってなんだろう』と考えさせられた日々もあった。これまで見て考えてきた事の全てがいつしか私の憧れとなり、いつか年老いて死を迎えるその日の理想像から逆算して今を生きるようになった。
今の仕事に辿り着けたのは偶然の奇跡だったと思う。自分の得意不得意に悩み続けた若い頃。選択はしたもののグラフィックデザイナーには向いてないと自分自身ずっと感じていたし、色々な人に言われ続け傷付いた頃もあった。特に日本のグラフィックデザイン業界ではやってけないと感じ自信を失っていた頃もあった。それでも諦めずにどうすれば良いか考えながら必死に食らい付き遠回りし続けた結果今のスタイルに落ち着き、夢であった母国日本で自分の事業を立ち上げる事ができた。この仕事が一番自分に向いているし、自分にしかできない仕事だと思える様になった。今振り返れば高校卒業後アメリカに飛び立つまでの私の人生は何もかもが上手くいかず泣いて過ごした日々の思い出ばかり。全ては日本を出た瞬間から始まった。気持ちを奮い立たせ冒険に出た結果、私という可能性を拾い伸ばし引き出してくれた沢山の恩師に出合う事ができたしかけがえのない仲間にも出合った。そして、それまで経験した事のない程の努力を積む事ができた。外国に出て広い世界を見て帰って来れた経験がここ日本では何もなかった自分に生命を吹き込んでくれたのだと今更ながらに思う。世界は広い。ここでは受け入れられなかったとしても他では賞賛されたりする。閉鎖的な環境での尺度に気付き『なんてちっぽけなんだろう』と感じたら、絶対飛び出してみた方がいい。
一年前この土地で新たに事業を続けようと決意した時、それはまた私にとって新たな挑戦にも似たスタートだった。こんな誰にも来てもらえなそうな田舎で暮しながらビジネスを続けられるのか...そんな不安でいっぱいだった。それでも新しいスタイルを開拓する気持ちで今の時代に向き合い自分の理想を貫く事に決め、それが私が想い描く生き様だと思った。そして結局引っ越したと同時にビジネスには火がつき、日々の暮らしも以前より見違えるように良くなった。必要最低限以外は何もなく、車がないと生活できない様な場所だけど、自然と共に生き、家族で支え合い、笑顔と挨拶がこぼれる街。ここは他では得られない温かさで溢れていた。
今のこの世の中を如何様に生きるか。周りに振り回されず自分にとっての幸せや理想を見据えて生きていたい。まだまだ始まったばかりだ。どんな事があっても信念を曲げる事なく貫けばきっと理想は叶うと信じて。
P.S. 写真は、家の裏道を散歩する妹♡
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